この項では、シールズモデルズの1/700東海汽船「橘丸」の完成写真と製作記のまとめをご紹介します。
モデルアート社「日本の客船」シリーズとのコラボキット
1/700東海汽船「橘丸」、左舷前方からの全景。キットはシールズモデルズのレジンキットで、モデルアート社出版「日本の客船」の連動企画として2006年に製品化されたものです。
流線形を採り入れた、昭和10年当時の最先端を誇る構造美
1/700東海汽船「橘丸」右舷のほぼ真横からの全景。この「橘丸」は、現在、東海汽船で運航されている同名船(3代目橘丸)の先代で、初代から数えて2代目にあたります。戦前の昭和10年に建造された船としては非常に美しいスタイリングをしており、特に流線型のデザインを採り入れた船橋構造物や煙突の形状が魅力です。
「橘丸」がたどった数奇な運命
左舷後部からの見下ろしアングル。「橘丸」』は、もともとは大島航路の観光用に建造された客船ですが、中国大陸において揚子江の定期運航に就いたり、海軍と陸軍の両方に徴用されてそれぞれ病院船として活躍するなか、大破着底の後に浮揚修復されたり、米軍に拿捕されたり、復員船に使用されたりと、数奇な運命をたどりました。
ゴジラに襲撃されるも、無事生還
戦後は大島航路に復帰し、1954年公開の映画「ゴジラ」にも出演しました。
ここでも強運船ぶりを発揮! ゴジラに至近距離まで接近されたにも拘らず、襲撃されることなく無事にやり過ごすことに成功しました。
「橘丸」は戦後も数次に渡って塗色の変更が行われていますが、この作品では昭和31~42年頃に施されていたとみられるダークブルー塗装を再現しました。
流麗な船橋構造物の造形美
船首から船橋にかけてのクローズアップ。ディテールアップには汎用の手すりとラッタルのエッチングパーツを使用し、張り線を追加したのみです。
最小限のディテールアップでも見応え抜群の仕上がり!
それらのディテールアップ以外にも、今回は救命浮輪や搭載艇の滑車、更にはデッキ上にテーブルやイスなども追加しようかと考えたのですが、これまで製作してきた1/700客船模型作品とディテールバランスを揃えるため、敢えて省略しました。
航行波にはマグネシウムパウダーを混ぜたメディウムを使用
船尾の様子。海面ベースはジェルメディウムで製作し、白波はメディウムにマグネシウムの粉末を混ぜたもので再現しました。
模型をサイズ感を再確認(100円玉との比較)
100円玉との大きさ比較。「橘丸」の全長は80メートルほどということで、1/700の模型は12センチ程度の極小サイズです。これほど小さいキットであるにも関わらず、各パーツの形状やディテールは素晴らしく、楽しく製作することができました。
モデルアート社「日本の客船」シリーズ、全3隻の揃い踏み
写真左手前から、1/700関西汽船『くれない丸』(2012年製作)、1/700大阪商船『に志き丸』(2013年製作)、1/700東海汽船『橘丸』(2019年製作)の順です。これで、夢にまで見た『日本の客船シリーズ』全3種をようやくコンプリートすることができました。
1/700東海汽船「橘丸」製作記まとめ
以下は今回製作した1/700東海汽船「橘丸」製作記各記事へのリンク(目次)をまとめたものです。
主にキット&シリーズ紹介と組み立て&塗装の2部構成で仕立てております。