艦船模型製作代行のご依頼をいただき、1/700巡洋戦艦「フッド」を製作中です。

今回が製作記の最終回となります。まずは、前回に個別に塗り分けた甲板上の小物類を取り付け、主砲塔を設置しました。尺の都合で写真一枚で済ませていますが、実際はこれらの大量のパーツの切り出し&ゲート処理、下地→本塗装、取り付けまでトータル4日程度を必要としました。

また、工程初期のうちに製作と塗り分けを済ませておいた艦載艇と救命筏もセットし、対空兵装も順次取り付けました。(艦載艇単体の写真は、うっかり撮り忘れていました)ダビットはフライホークパーツには含まれていなかったので、シップヤードワークスのエッチングで補填しています。

最後に残していた作業は、艦橋のディテールアップと最終的な組み立て作業です。内部にはラッタルが非常に多く備わるので、これらは(デッキ周りのラッタルと同様に)大半をシップヤードワークスのエッチングで統一しました。

下層から積み上げていくと同時にエッチングの手摺りやラッタルなども順次取り付けます。シップヤードワークスのラッタルは(フライホーク版と比較して)使いやすいのは事実ですが、残念ながら一部不足がありましたので、後部の長いラッタルのみフライホークの豪華版付属のエッチングで補填しました。

さらに上層に進みます。フッドの艦橋内部には特に複雑な隔壁があるわけでもないのに、なぜかラッタルは無数にあります。損傷した時の予備なのか? 兵用と士官用に別れているのか? 理由は分かりませんが、側面が後部から覗き込んだ時には(ディテール面で)良いアクセントになってくれます。

三脚檣と上部の指揮所を取り付ければ、前部艦橋のディテールアップも完了です。観測機器類や灯火類は、あとから取り付けできない箇所も多いので、各層を重ねていくタイミングで接着を済ませました。

空中線には、例によってモデルカステンの「メタルリギング0.1号」を使用しました。私の場合(お客さまからご指定がない限りは)1/700では0.1号、1/350では0.3号を使用しています。

空中線接着には、最近は「アロンアルフア 光」を愛用しています。太陽光下では、ある程度硬化時間に余裕があるので、位置決めと適切なテンションが決まったタイミングでUVライトを照射して完全固着させていきます。

こうして空中線の取り付けも完了しました。空中線の取り付けに先立って、UVカット艶消しクリアーで全体をコートし、作業後に空中線周りに上塗りして仕上げました。

近年のフライホークの超精密キットを製作するさい、私はこれまで「1/350並のパーツ分割」という表現をなんどか使用して来ましたが、今回のフッドに至っては1/350は軽く超えた「1/200並み」のパーツ構成にたいへん驚かされました。ランナーも細かく(計40枚以上に)分割され、ひとつの構造物や武装を組むのに必要なパーツが(別ランナーに)バラバラに配置されている点は、製作の難易度を大いに引き上げているように思いました。
製作の上で苦労した箇所は挙げればキリがないですが、1/700巡洋戦艦としては、これまでにない情報量に仕上がりましたので、次回の完成写真もぜひご覧ください。