艦船模型製作代行のご依頼を頂き、アオシマの1/350重巡洋艦「鳥海」を製作中です。

今回は、1/350重巡洋艦「鳥海」製作記の最終回となります。まずは航空関連の装備品で、射出機&運搬台車などにアオシマの純正エッチングパーツを使用しました。

艦載機もアオシマキットに付属のプラパーツを忠実に組み、プロペラを純正エッチングパーツにて再現しました。スピナーはプラモールドを一旦切除し、プロペラ取り付け後に重ね付けする要領で再使用しています。なお、日の丸デカールはキットには付属していなかったので、手持ちのハセガワQG40「日本海軍 艦載水上機セットA」の余剰デカールを流用しています。

続いては空中線ですが、私の場合、1/350ではモデルカステンの「メタルリギング0.3号」を愛用しています。程よい重さがあり、接着強度も高いので1/350や1/200などの大型艦船模型にオススメです。(接着もいつもと同様に「アロンアルファ光」を使用しました)

空中線の本数は、船本体のディテール感とのバランスを見つつ、過度にならない程度に抑えました。また、オレンジ色の丸印は、キットでは省略されている舷灯です。舷灯はハセガワのQG35「1/350日本海軍艦艇用汎用エッチングパーツ」のものを使用し、緑の丸印の救命浮環はKAモデルのエッチングで再現しました。

最後に船体全体をUVカットクリアーでコーティングし、スクリューの取り付けと菊花紋章の色差しをして完成となります。菊花紋章のゴールドには、タミヤペイントマーカーのX11「ゴールドリーフ」を筆塗りしました。タミヤのペイントマーカーのゴールドは粒子が非常に細かく、箔を張ったような美しい発色が魅力です。

ディスプレイケースは、当工房で在庫していた、タミヤの73018「ディスプレイケースN」を使用しました。このケースは分厚いMDF製の台座が付属しており、高級感があるのが強みですが、ボルト穴の開口にはモーターツールが必須になります。ここではプロクソンのフライスマシンにドリルチャックを付けたものを使用し(ボルトの頭を入れ込むための)段付き穴を開口しました。

飾り脚には、冒頭のキット&パーツ紹介でご案内した、アドラーズネストの「金属飾り脚M」を使用します。

アドラーズネストの飾り脚は、つるしの状態でも充分に美しく磨き上げられているのですが、当工房では更なる高級感を演出するため、金属磨き剤での研磨を加えています。ボルト&ナットに挟み込んだ飾り脚をフライスマシンにセットし、ろくろのように回しながら磨き込みます。

写真では少しわかりづらいですが、研磨前と研磨後では驚くほどに質感が変わります。酸化防止のため、研磨後にはガイアノーツの「EX-クリアー」をコートしておきました。

タミヤケースの台座&アドラーズネストの金属飾り脚の組み合わせは、ミュージアムモデル仕上げのフルハルモデルとの相性が抜群です。スクリューの塗装は華やかさを演出すべく、赤みが比較的強いガイアノーツ「スターブライトゴールド」を使用しました。

汚し無しのフルハルモデルは一見シンプルですが、そのぶん誤魔化しの効かない難しさがあります。特にアオシマの高雄型は、船体舷側の分割面の処理や艦橋周りの歪みの影響が出やすい点など、難しいポイントがいくつかあるのですが、諸々の微調整を繰り返した結果、美しい一体感を見せてくれました。次回は完成写真の紹介となりますので、ぜひご覧ください。