今回は、モデルファクトリーハイギヤード代表ではなく、艦船模型サークル「鳶色の会」に9年間在籍した渡辺真郎として、退会のご挨拶をさせていただきます。
皆さんへ、感謝を込めて

当ブログをはじめ、いつも公式XアカウントやFacebookで私の投稿をチェックしてくださる皆さま、ありがとうございます。このたび、諸事情により、艦船模型サークル「鳶色の会」を退会しました。
SNS(X)での告知ポスト

当該ポストはコチラです→ https://x.com/shokatsusin/status/1941429345266041345
2016年の春いらい、奈良から大阪の例会に通った9年間は、私の人生の宝物です。この艦船模型サークルでの体験談では、呉旅行、静岡ホビーショーの裏話、艦船模型への情熱などを振り返ります。
鳶色の会での第一歩
私が「鳶色の会」に入会したのは2016年春のことです。奈良から大阪の例会に通い、山口隆司会長と、その盟友の早野治朗会員に続く3人目の会員として迎えていただきました。オールジャンルの模型サークルしか知らなかった私にとって、艦船模型専門サークルである「鳶色の会」への加入は新鮮な挑戦でした。
入会当初は、艦船模型の奥深さに圧倒されつつも、山口会長をはじめとする情熱的な会員の皆さまの模型づくりにかける姿勢に魅了されました。この会は、私に艦船モデラーとしての「目」を肥やす環境を与えてくれました。細部までこだわり抜かれた作品や、歴史を紐解くような議論を通じて、模型の魅力だけでなく、資料的な背景、裏側に隠された物語に心を奪われた日々は、今でも鮮明に思い出されます。

旧ブログ「モデラーのお宅訪問」より
https://modelfactoryhg.blog.fc2.com/blog-entry-917.html
「鳶色の会」に在籍していた頃、公式サイトではメンバー紹介のページにもプロフィールを掲載いただいておりました。

呉旅行での艦船模型への情熱の再認識
2019年11月の呉への泊りがけ旅行は、艦船模型サークル体験談として忘れられない思い出です。大和ミュージアムや江田島の海上自衛隊第1術科学校を訪れ、艦船の図面や現存装備品を前に、資料を活用した船体バランスの修正や海面製作技法について熱い模型談義を交わしました。海なし県の奈良から国内屈指の港湾都市・呉を訪れたこの時間は、艦船模型への情熱をさらに深める機会となりました。


呉旅行で得た3つの学び
- 資料の重要性:実物の艦船資料を掘り起こし、説得力のある表現に繋げる
- コミュニティの力:会員との議論が新たな製作アイデアを生む。
- 歴史との対話:艦船や装備品が生まれた背景や物語を理解し、模型に深みを加える。
『鳶色の会』による呉旅行 その1:https://modelfactoryhg.blog.fc2.com/blog-entry-1832.html
『鳶色の会』による呉旅行 その2:https://modelfactoryhg.blog.fc2.com/blog-entry-1833.html
『鳶色の会』による呉旅行 その3:https://modelfactoryhg.blog.fc2.com/blog-entry-1834.html
『鳶色の会』による呉旅行 その4:https://modelfactoryhg.blog.fc2.com/blog-entry-1836.html
静岡ホビーショーの思い出
静岡ホビーショー モデラーズクラブ合同展示会は、「鳶色の会」の情熱が輝く場でした。展示準備を終えた後は、モデルアート社の編集者との食事会でプロの視点や裏話を聞く機会にも恵まれました。私の代表的な作例となった1/350戦艦大和が「艦船模型スペシャルNo.71」に掲載され、その後のDVDマガジンや実践工作テクニックガイドなどの刊行に繋がったのは、こうした交流のおかげです。

静岡ホビーショー参加でいただいたご縁の数々
- 全国規模の模型展示会に、艦船模型サークル所属の艦船モデラーとして参加をさせていただいたこと
- 模型雑誌の編集部などとの交流の機会を多く持つようになり、様々な機会をいただいたこと
- 艦船模型を目当てにご来場いただいた多くのお客さまに作品をご覧いただけいたこと
偶然の繋がりが築いた想い
また、これは以前にも他の記事などに記載したこぼれ話なのですが、入会当時、私は驚くべきことを知らされました。山口会長、早野会員、そして私の3人が、偶然にも過去に同じ会社に勤めていた時期があったのです。

その会社は従業員数20名に満たない、大阪の小さな町工場でしたが、この奇跡のようなご縁は、まるで模型を通じて結ばれた運命のようにも思えました。職場とは異なる場で、同じ情熱を共有できたことは、本当に貴重な経験でした。
このご縁があったからこそ、私は「鳶色の会」に深く根を下ろし、9年間という長い時間を共に過ごせたのだと思います。
多忙な日々と情熱に応えられない自分
そんな大切な「鳶色の会」を退会する決断に至ったのは、主に子育てと仕事の多忙さによるものです。この数年、子供の成長とともに家族の時間が増え、フリーランスとしての仕事も年中無休のような状態が続きました。プライベートの時間が思うように取れず、静岡ホビーショーのような大規模展示会において「奈良模型愛好会」との掛け持ちも難しくなりました。

その結果「鳶色の会」の情熱的でエネルギッシュな活動に、私自身が十分な成果やお手伝いをできていないと感じるようにもなり、会の皆さんの情熱に見合う貢献ができず、至らない点が多く出ておりましたことに、申し訳のない気持ちを持っております。
製作代行と、サークル活動での表現の違い
2010年以来、活動を続ける「モデルファクトリーハイギヤード」の代表として、艦船模型製作代行を生業とする私は、お客さまの要望に沿った作品を完成させることを、第一の製作スタンスとして重視しております
プロとして受注製作をお受けする以上、自身の表現や好みよりも、お客さまの好みの仕上げを追求することは必要不可欠であると確信しています。
たとえば、当工房で人気の「フルハル&汚し無しのミュージアムモデル」だと、お客さまから「○○社のキットに○○社のパーツを追加」+「外舷色はMr.カラー○○番、デッキ色はタミヤラッカー○○番の組み合わせ」とか「ご予算¥○○で可能な範囲で、戦艦○○のディテールアップ作品を」といった具体的な注文内容が多いです。

https://modelfactoryhg.blog.fc2.com/blog-category-31.html
また、実際の考証や実艦の構造、塗色とは異なった仕上げ(例:舷外電路あり→舷外電路なし、リノリウム甲板→鉄甲板、架空迷彩、存在しない年代設定など)をご要望いただくことも多く、柔軟な対応を求められる中で、私自身の製作者としてのキャラクターは「芸術家」ではなく、むしろ「職人」であると自覚しています。
一方、艦船模型サークル「鳶色の会」では、海面表現や乗組員の動きを再現した躍動感あるモデルが主流で、実艦の質感や息吹を反映させます。この製作代行活動とサークルの表現力豊かな活動の両立は、入会当初からの挑戦でした。
模索の続く日々ではありましたが、例えば、第28回ピットロードコンテストで金賞を受賞した【1/700港湾ジオラマ「1930年代の横浜港」】は、会員の皆さまとの相談やアドバイスの中で完成し、大きなコンテストで初めて評価をいただいた思い出深い作品となりました。

ただし、子供の成長がとても重要な時期を迎えつつある現状の家庭環境で、今後もこのような模索を続け、成果を出し続けるのは非常に困難であることも事実です。
私にとって家庭はなによりも大切な存在です。
子供と家庭の将来を左右する重要な時期において、家族をおいてきぼりにしてまで趣味に情熱を注ぐのは本意ではありませんので、今回の決断に至りました。
これからも変わらぬファンとして
卒業の件は、事前に丁寧な話し合いの場を設けていただき、充分に相談の上、円満な形で決断したものです。この前向きな話し合いは、「鳶色の会」への敬意を再確認する機会でした。

会の活動詳細は公式サイトなどでご覧いただけますが、私は今後も変わらぬファンとして、皆さんと一緒にその活躍を応援します。
心からの感謝
至らない点もあった私を、いつも温かく見守ってくださった山口会長をはじめ、全ての会員の皆さんと、会を通じて交流をいただいた皆さんに心より感謝申し上げます。
ときには私の拙い作品に真剣に向き合い、貴重なアドバイスをいただいたり、展示会の準備の進め方などを笑いながら語り合った思い出は、私の心の宝物です。

https://high-geared.com/ijn-destroyer-yukikaze-hasegawa350/
「鳶色の会」のこれからを
退会は寂しい決断ですが、艦船模型サークル「鳶色の会」の情熱とコミュニティの温かさは、模型の世界で特別な存在です。会員の皆さんが新たな作品を生み出し、展示会で輝く姿を見るのが楽しみです。皆さんも、応援をぜひお願いします!
模型を通じたご縁を大切に
今後も、艦船モデラーや模型ファンの皆さんと笑顔で再会できる日を心から楽しみにしています。9年間、心からの感謝を申し上げます、鳶色の会!
私の模型製作の旅は、high-geared.comにて、これからも10年、20年、できれば30年と続けて参ります。
今後はSNSも最大限活用し、ブログ記事の詳細ついての事前説明や、動画による解説も充実させていく計画を練っておりますので、X(@shokatsusin)やFacebookでシェアしていただければ幸いです!長文を最後までご覧いただき、まことにありがとうございました。
2025年7月5日
渡辺真郎
鳶色の会での過去の活動の詳細を更にご覧になりたい方は、旧ブログ検索フォームから「鳶色の会」で検索!