艦船模型製作代行のご依頼をいただき、フジミの1/700重巡洋艦「高雄」を製作中です。

煙突に続いてご紹介するのは前部艦橋です。今回使用する3Dプリントパーツの中でも最も入り組んだ構成となっており、ディテールアップ効果の特に高い部分になります。

艦橋パーツはみっつに分類されていました。写真左から艦橋本体、双眼鏡や測距儀などの装備品、防空指揮所&ループアンテナの順です。

艦橋本体と防空指揮所が分割構造は、内部の塗装を考えると非常にありがたい配慮です。双眼鏡などの別パーツも多く「組み立て要素」は多めですが、その分、床面の木製グレーチング部の塗装などを実感的に仕上げることができます。

後部からの様子。22号電探用のスポンソンやウイング後部の張り出しを支えるサポートが芸術的で、見た目にも複雑な建築物のようなQ面白みがありました。

1/350のアオシマキット製作、真鍮線で自作した前面の砲身用のフレームも一体でプリントされています。ただ、下面のサポートは非常に本数が多く、3Dプリント用ニッパーだけでは切り出しが困難でしたので――、

……内側の方は超音波カッターで処理しました。内部のサポートは非常に複雑で「切り取る」のは事実上、不可能でしたので、ピンセットでつまんで捩じりながらむしり取りました。
(見えない部分ではありますが。きっちり処理しておかないと、あとから細かな破片が出てきたりする可能性があるので、慎重に処理しています)

サポート後をサンドペーパーで均し、船体に仮付けした様子。このアングルだと、うまくハマっているように見えますが……

フライホークのエッチング甲板との兼ね合いで、キットの艦橋取り付け穴が出てしまう問題が発生。リノリウム甲板がキットのままなら、プラ丸棒などで埋めればいいだけなのですが、エッチング甲板側の取り付けガイドの形状が合わないので、艦橋そのものを僅かに前進させてカバーしました。(その分、後部に合わせ目が出来てしまいますが、そこはプラ板で塞ぎました。)

艦橋内部と防空指揮所の木製グレーチングを塗装し、双眼鏡と測距儀を取り付けた艦橋全景。22号電探や機銃などは(破損防止のために)取り付けを後回しにしています。

高雄型重巡の魅力と言えば、なんといっても巨大な環境ですが、バンカースタジオの3Dプリントパーツは、この艦橋の構造とディテールを見事に再現しています。その一方、これだけを取り付けるとキット側とのバランスを損なう可能性があるので、フルディテールアップまではしないにしても、機銃座ブルワークやホーサーリール、高角砲の射界制限枠などはエッチングに変えておいた方が良いでしょう。


