艦船模型製作代行のご依頼をいただき、フライホークモデルのイギリス海軍1/700戦艦「アイアンデューク」を製作中です。

今回は主に前部艦橋製作記の前編ですが、その前に甲板上の装備品の取付状況をご紹介します。これは船体中央部から後部艦橋にかけてのクローズアップで、デリック類は真鍮線にて自作。ダビットはキット付属のエッチングを使用し、ボートクラッチは豪華版付属のエッチング、そして通風筒も同様に豪華版付属の真鍮挽物パーツという次第です。

艦尾周りのデッキには小型の煙突が数多く備わります。また、スターンギャラリーは豪華版のエッチングに切り替え、木製グレーチングや手すり、艦銘板なども繊細に仕上がりました。

右舷艦首側からの見下ろしアングル。この距離で見るとほとんど目立ちませんが、近くで見るとデリックとダビットの多さに驚かされます。

甲板上の小物類の取り付けを終えたタイミングで、主砲塔の積載を完了しました。ダビットや小型の煙突の中には、主砲身の間を縫うように配置されているものもあるので、小物の取り付けは砲塔取り付け前に済ませておく方がスムーズです。

続いてはいよいよ前部艦橋の製作ですが、今回は(お客さまからのご要望で)キットの設定年代より少しあとの時代を再現することになりました。まずはキットの艦橋を組み立てつつ、バランスと形状の違いを探ります。

キットの前部艦橋を組み上げ、デッキ上に仮置きした様子。キットの艦橋はユトランド沖海戦前の状態ですが、今回はユトランド沖海戦後に小改装がなされた状態に変更します。

艦橋の仕様変更に使用するのは、アーティストホビーの品番「270001」のディテールアップセットを使用します。このセットは艦橋用のエッチングが2種類付属しており、ユトランド沖海戦前とユトランド沖海戦後が選択可能となっています。

フルエッチングの艦橋パーツは主要部が箱組み、ウイングやスポンソンが上下枚貼り&三角補強板という構成です。この段階では、キットの設定年代と大差ありませんが、羅針艦橋より上の部分は様々な施設が増設されて複雑な構成となります。

基本部の組み立てを終えたアーティストホビーの艦橋と、キット(フライホーク)の艦橋の比較。アーティストホビーのパーツはもともとフライホークのキットには非対応(←コンブリック用)ですので、船体やデッキに無理なく合わせられるよう、細部に微調整を加えました。

船体への仮配置の様子。対応キットが異なることから、支柱もフライホークの物は使えず、細々とした部分は自作や加工に頼ることになりました。色々と苦労はありましたが、全体的なフィッティングはまずまずのところまで仕上がったと思います。

今回は【コンブリック用のエッチング艦橋をフライホークキットに捻じ込む仕様】ということで、少々難工事が必要となりましたが、微調整を繰り返した結果、無理のないバランスに仕上げることができました。次回の艦橋製作記後編も、ぜひご覧ください。