ただいま、業務の方はメディア掲載作例の製作に集中しておりますことから、本日からはストック記事をご紹介します。
第一回目の今回ご紹介するのは、2019年発売の「艦船模型スペシャル No.71」の巻頭と表紙用に製作した、1/350戦艦「大和」の作例の改修作業です。
約6年前の作例を小改装してリメイク
こちらが「艦船模型スペシャル No.71」掲載の1/350戦艦「大和」。私自身の模型誌作例の代表作でもあり、私を作例ライターとして大いに引き立ててくださった真島栄二編集長の艦スぺ引退の号の巻頭&表紙作例として、非常に思い入れの深い一作です。
主砲、副砲身をバンカースタジオパーツに切り替え
完成からおよそ6年を経たこの作例ですが、その後、次々と発表される大和型用ディテールアップパーツなどの情報もあり、いつか少しずつでも良いので「手を加えてリファインしたい」という想いがありました。今後の追加のディテールアップは段階的となる予定ですが、今回は「奈良模型愛好会」の展示会への出展に合わせ、最初のステップとして、主砲身の新パーツへの交換を試みました。
リファイン前の主砲塔全景。もともとはポントスモデルのパーツセットに付属の真鍮製砲身と、ライオンロアのセットに付属のレジン製防水キャンパスを組み合わせていましたが(仰角を変えられるように)未接着の差し込み式にしていることから、防水キャンパス上に隙間が生じる点や、正位置に固定した際に仰角にバラつきが出るのが悩みでした。
そこで、今回の改修では差し替え機構を止め、正位置への接着固定に仕様変更をおこないました。これは、改修に当たって約6年ぶりにベースと本体を分離した様子です。
主砲身は、バンカースタジオの品番IJN35106の製品を使用しました。これはパーツの外箱全景で、主砲身以外に副砲身も含まれます。(今回は主砲身のみ使用しました)
バンカースタジオの主砲身は、このような仕上がりです。最も売りにしているのが、開口された砲口にライフリングが施されている点で、この点では金属砲身より進んだディテールが表現されています。
未塗装では分かりづらいライフリングですが、内筒をシルバー塗装することで、ディテール感が際立ちました。肉眼ではほとんど確認が困難なレベルではあるのですが、こういうところが実艦と同じメカニズムになっていると満足度が高まります。
砲身外側は(大和本体の塗装時と同様に)光の当たる部分と影になる部分、そしてその中間部分の3色の塗色を調色し、グラデーションをかけた塗装を施しました。
主砲身と同様に、防水キャンパスもバンカースタジオの品番IJN35104のパーツに交換します。このパーツはバンカースタジオの砲身側との相性も良く、セットで使うことでディテールバランスの向上にも一役買ってくれます。
パーツ全景。仰角は3種が用意され、組み合わせ方によっては交互射撃や扇状に仰角を広げた様子も表現できるので、動きのある情景にも適しています。(今回は正位置用のパーツで統一しました)
写真右側が、従来の「ポントス砲身+ライオンロアキャンパス」の組み合わせで、左側がバンカースタジオパーツで統一したリファイン後です。バンカースタジオの砲身は、ライフリングのほかに、外筒砲固定リングもメリハリが効いた造形となっています。
リファインを終えた砲身を船体に設置。リファイン前と比較すると、仰角も綺麗に揃ってくれて仕上がりが向上しました。
海面ベースにも追加工
砲身のリファインとともに、海面ベースにも少し手を加えました。これは施工前の様子で、白波にボカし塗装を加えた他、さざ波の部分にハイグロスバーニッシュを重ねて海面の艶感を向上させました。
また、長年の展示によって収縮が生じていた前甲板の空中線を張り直し、その他の気になる箇所にも順次補修をおこないました。本作例は、2024年の「奈良模型愛好会 秋展」にも出展し、多くのご来場者の皆さまからご好評をいただきました。
私の趣味の一つともいえる(?)【過去作リファイン】ですが、今回は代表作の1/350戦艦「大和」に手を入れました。この作例には、今後もまだまだやりたいことが出てくると思いますので、今後のプランをじっくり検討していこうと思います。
なお、次のリファイン予定は、ハセガワ1/350戦艦「三笠」(2006年製作)を予定しておりますので、こちらもぜひご期待ください。