艦船模型製作代行のご依頼をいただき、1/700重巡洋艦「スターリングラード」を製作中です。
今回は、パーツの下処理と破損個所の修復作業をご紹介します。まずはレジンパーツに付着する離型剤落としからで、ここはいつもと同様に、ファインモールドのご機嫌クリーナーで処理しました。
続いては、片面取りパーツの切り離しを進めます。この手のパーツは底面がレジンの膜に埋没しているので、本体を傷めないように丁寧に切り出します。
切り出しのさいには膜を少し多めに残してカットし、あとからアートナイフやヤスリなどで切り詰めていくと安全です。
この段階で各パーツをチェックしたのですが、思いのほか破損が多いことに気付かされました。これは前部艦橋の指揮所の様子で、ブルワークに欠けと割れが一箇所ずつ見受けられます。
そこで、欠けてブルワークは部分的に切除し、レジン膜の不要部を当てがって修復しました(デッキの一部が坂になっているので、自然に仕上げるのに苦労しました)割れた部分は液状瞬間接着剤を流して固着したのち、サンディングして整えています。
こうした箇所の修復過程は、以下の通りです。
直線的なブルワークの欠けは、この方法で破損歴がそれほど分からない程度には修復することができました。
いっぽう、厄介なのは角になっているブルワークの破損です。このような箇所は、レジン板を当てがって直す手法が採れないので、一度ブルワーク全周を撤去したうえでプラ板で再生しています。
また、欠けている部分のほかに、この写真のように微妙な割れやヒビなども多くみられてましたので、液状瞬間接着剤を流して埋めるとともに補強を施しました。
パーツの切り出しのほかに、厚みの調整もおこないました。このように左右対称のパーツで厚みの差があると、仕上がりに影響するので(パーツを壊さない程度に)サンディングによる調整を加えています。
処理を終えたパーツ群は、仕切り付きのプラケースに収納しています。私の過去の製作歴を振り返っても、ここまでレジンパーツの多いキットは初めてかもしれません。
片面取りパーツは計35点ほどあり、そのうち10点ほどは破損による修正が必要となりました。これまで製作してきたコンブリックキットでは、ここまで破損が多い例は見られなかったので少々想定外ではありましたが、無事に修復が完了して安堵しております。