艦船模型製作代行のご依頼をいただき、1/700重巡洋艦「スターリングラード」を製作中です。
煙突に引き続いて、構造物の迷彩塗装を処理します。今回は、工程全体を通しても最も難易度が高い前部艦橋です。水平面の塗り分けを必要とするため、通常はフロアごとに分割して塗り分けることが多いのですが、今回の塗装パターンはバランス取りが非常に難しいこともあって、全接着してから作業に臨みました。
まずは「NATOブラウン」と「ブリリアントオレンジ」を混色したデッキ色を全体に吹き、水平面をマスキングします。(その際、見落としていたブルワークの欠けが見つかったので、プラ板にて修復しています)
側面の迷彩パターンは、まず艦橋頂部の「パールライトブルー」ベースの外舷迷彩色2を吹き、1mm幅の細切りマスキングテープで塗り分けラインを描き、最後に6mm幅のテープで全体をマスキングしました。
続いては、写真内の赤線で囲った部分に「マイカブルー」ベースの外舷迷彩色1を重ねます。どちらの迷彩色も、構造物やブルワークの内側に塗りムラがあると修正困難となるので、エア圧や太さを変えつつ、あらゆる向きから吹き込ませて均一な塗膜を目指しました。
外舷迷彩色1の部位をマスキングし「マイカシルバー」ベースの外舷迷彩色4を吹いた様子。この塗色は隠ぺい力が意外と高く、工程を後半に回しても比較的、良好に発色してくれます。
最後に外舷迷彩色3の「ラバーブラック」を吹きますが、ここには3本線が斜めに入るため、様々な角度からマスキングのラインが揃っていることを確認しつつ、微調整を重ねました。
ラバーブラック吹き付け後の様子。艦橋側面の塗り分けは本来の迷彩パターンのほかに、ブルワークなどの一部でイレギュラーに塗色が異なる箇所もあるので、何度も資料を確認しつつ、可能な限り忠実な仕上げを心がけました。
艦橋後部側面の塗り分けは、これまでの塗り重ねの中でマスキングを同時進行できなかったので、個別に処理しなおしました。背面や前面は側面図からの推定となりますが、概ね正確な塗り分けになったのではないかと思います。
ブログ記事ではサクッと仕上げたかのように書いていますが、実際のところは艦橋の塗り分けには二日半ほどかかりました。
マスキングさえ終えてしまえば、塗装自体は一瞬で終わるのですが(パール&マイカ系の塗料を多用していることから)タッチアップ修正が不可能なので、吹込みが生じないように普段の3倍程度の時間をかけて慎重に処理しています。