艦船模型製作代行のご依頼をいただき、1/350原子力潜水艦「トゥーラ デリフィン デルタIV型」を製作中です。

今回は製作記の最終回ということで、ウェザリングや小物類の制作の様子をご紹介します。まずは舷側の汚れですが、これには主にMr.ウェザリンカラーのマルチホワイトを使用し、縦に雨だれ&塩汚れを描き込んでいく要領で仕上げ、キャプスタンやボラード周りに軽く「ラストオレンジ」を差し、控え目に錆表現を加えました。

少し写真が青味がかかってしまいましたが、デッキから舷側にかけて、少し使用感のあるイメージに仕上がりました。吃水線下は、タミヤエナメル塗料の「フラットブラック」をペトロールで溶いたものを縦方向に重ね、筆ムラを出しつつ「黒ずませて」います。

このアングルで見ると「マルチホワイト」による逆スミ入れの効果が良くわかります。発射管のモールドは、そのままではほとんど見えなくなっていましたが、ウェザリングカラーで繰り返しウォッシングすることで、ハッチやパネルラインの立体感が際立ちます。

潜望鏡周りは、お客さまからいただいた塗装資料とキットの塗装指示で異なる部分が多かったので、資料の方に合わせました。金属色のシャフトの部分には、ガイアノーツの「ダークステンレスシルバー」を使用しました。このカラーは、ギラギラしすぎない程度に明度を落としたシルバーで、潜水艦のような黒塗装の中で引き立つ塗色です。

船体はMr.カラーの「スーパークリアーIII UVカットつや消し」を吹きましたが、潜望鏡周りは敢えて金属感を残した仕上げとしています。

緑の四角に囲われたウインドスクリーンは(キットパーツが黒成型でしたので)透明プラ板で自作しました。ちょっとした作業ですが、黒成型パーツと比較して、かなりの実感アップに繋がったと思います。

スクリューはかなり複雑なパーツ構成で計6パーツとなっていますが、プロペラブレードは全てが同じ形状ではありませんので、接着の際には組み込む位置をきっちり確認しておくことが重要です。

スクリューの塗色は、キットの塗装指示ではブロンズ色となっていましたが、こちらも塗装指示に合わせてゴールド仕上げとしました。使用したのはガイアノーツの「スターブライトゴールド」で(写真で見るよりは)赤みが強くて豪華な印象が楽しめます。

スクリューを取り付けた艦尾周りのクローズアップ。キャプスタン&ボラード周りの錆汚れの様子もご覧いただけます。

最後はアクリルケースの台座への取り付けです。いつものようにアドラーズネストの「真鍮飾り脚M」を使用し、卓上フライス盤に噛ませてピカールで磨き込みました。(写真左側が磨き前、右側が磨き後)

今回のアクリルベースはブラウン色ですので、全体的にシックな印象です。海底スレスレを航行する原潜のイメージで、なかなかカッコよく仕上がりました。

船体の仮組みや組み立て初期には、随分と多くの修正を重ねる必要がありましたが、その甲斐あって非常にカッチリとした完成度に仕上がりました。ウェザリングの効果で適度な密度感も出てくれましたので、完成写真もぜひご覧ください。