艦船模型製作代行のご依頼をいただき、1/350海上自衛隊潜水艦「SS-513 たいげい」を製作しております。
前回までに主要部の組み立ては終わりましたので、今回は製作記の最終回として、塗装とマーキングをご紹介します。これは下地としてガイアノーツの「サーフェイサーエヴォ ブラック」を全体に吹いた様子で、雰囲気的には、これでも充分完成に近い状態です。
続いては、船体表面の無反響タイルや塗色の微妙な階調差を表現するため、マスキングと吹き重ねを繰り返しました。これは、キット塗装図で指示されている、Mr.カラー137「タイヤブラック」の吹き付けに備えたマスキングの様子です。
更にもう一色、ハッチ周りやX舵上端部にMr.カラー333「エクストラダークシーグレー」を重ね、船体塗装は完了となりました。
マスキングを全て剥がし、個別に塗装しておいた潜望鏡を再セットした様子。一見、黒一色にみえる現用潜水艦も、こうして塗色の差異を演出することで、各部の機能美が見えてきます。
続いてはデカールの貼り付けですが、キットには旗や吃水標示のほかに、艦名と艦番号が付属しています。
ただし、実艦の艦名&艦番号がどうなっているかと言いますと……
これは今年2月、阪神基地での「そうりゅう型潜水艦 SS-504 けんりゅう」の乗艦見学にご招待をいただいた際に撮影した全景。艦名と艦番号は、防諜上の理由で消されており、表示されているのは吃水標のみとなっています。
では「艦番号&艦名標示は実艦には全く施されることはないのか?」というと、そうではありません。これは今年3月9日に、妻の【みのりわた https://www.aksd.net/ 】が「たいげい型潜水艦 SS-515 じんげい」の乗艦イベントに参加したさいに撮影した全景。
実はこの写真、三菱重工神戸造船所から海上自衛隊に引き渡された翌日に撮影されたものでして、横須賀に配備されるまでのごく短い期間のみ、艦番号&艦名標示が存在していることを証明してくれました。
そこでお客さまとご相談のうえ、今回の「SS-513 たいげい」は艦名&艦番号アリの表現としました。無反響タイルのモールドに重なる箇所も多いので、デカール軟化剤で根気強く馴染ませ、UVカット艶消しクリアーでコーティングした結果、シルバリングなども生じずに美しく仕上がりました。
スクリューはパーツ表面の滑らかさを活かすべく、敢えてサフレスでガイアノーツ「スターブライトゴールド」を吹きました。全体的に暗色系の塗り分けとなった船体にあって、鮮やかな発色が良いアクセントになってくれました。
現用潜水艦は形状がシンプルなだけに、ちょっとした塗り分けミスやデカールの歪みなども許容してくれない厳しさもありますが、完成した姿はまさに最新の工業デザインの極致ともいえる魅力があります。次回はCHERRY&ANCHOR入荷情報となりますので、完成写真紹介は週明け月曜日になる見込みですが、ぜひ最後までご覧いただけたらと存じます。