1/700装甲艦「アドミラル・グラーフシュペー」製作記も佳境を迎えておりますが、今回は「モデラーズフェスティバル2024」の参加レポートをご紹介します。
尺の都合で参加サークルの作品紹介がメインとなっておりますが、当日の様子は多くの参加者やご来場者の皆さまがSNSなどに多数掲載しておられますので、そちらをご参照いただけましたらと思います。
会場は、いつものように大阪南港の大型商業施設「アジア太平洋トレードセンター(通称:ATC)」です。
「鳶色の会」会員の作品紹介
参加サークルも例年と同じく、カーモデラーグループの「チームKen-1」との合同卓「鳶色の会」から作品を出展させていただきました。
「鳶色の会」とは7人の艦船模型好きが集うサークルで、会の名前は帝国海軍の造船官に割り当てられていた兵科色が由来です。また、会員は月刊モデルアートや艦船模型スペシャルなどの作例ライターとして活動中です。
これは、山口隆司会長の最新作となる、1/350アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦「DDG-100 キッド」。この作品は、モデルアートから発売になった、山口隆司作品写真集「神工鬼斧」にも収録されています。
こちらも山口会長の作品で、フィヨルド内に停泊するドイツ海軍1/350戦艦「ティルピッツ」です。「極北の孤独の女王」と題されたこの作品は「艦船模型スペシャル No.72」にも掲載されています。
同じく、山口会長の作品となる1/350軽巡洋艦「矢矧」。この矢矧は、私が1/350戦艦「大和」の作例を担当した「艦船模型スペシャル No.71」にて、天一号作戦の随伴艦として掲載されました。
続いては、鳶色2号こと早野二朗会員による1/350オリバーハザードペリー級ミサイルフリゲート「FFG-46 レンツ」。「艦船模型スペシャルNo.91」に掲載された作品で、エッチングパーツの加工方法とともに、詳細な工程解説がなされています(ご本人は海外のイベントに参加するため、モデフェスは欠席)
こちらは「特選空母」でお馴染みの、けんちっくさんこと秋山敏郎会員による、1/350航空母艦「CV-8 ホーネット」。プラ板によるスクラッチがメインの秋山会員にしては珍しく、トランぺッターのキットがベースで、ドゥーリトル隊のB25が飛行甲板に満載された状態が再現されていました。(写真には写っていませんが、格納庫の天井に艦載機が吊るされるなど、物凄い拘りが反映された作品です)
ここからは、1/700スケールの作例群です。これは山崎剛会員の1/700戦艦「シャルンホルスト」で、トランぺッターのキットがベースです。月刊モデルアート誌の作例で、迷彩塗装は(キットの塗装指示ではイメージと異なる部分があったため)明度や彩度などを調整して自然なバランスで仕上げられていました。
こちらは、棚家K介会員の作例で、フライホークの1/700タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦「CG-52 バンカーヒル」です。フルエッチング+3Dプリントパーツが付属した豪華版キットを製作されたもので、膨大な工数ながらもタイコンデロガ級の決定版ともいえる、凄まじい解像度に仕上げられていました。
解像度という点では、こちらも壮絶なディテールで仕上げられた1/700戦艦「大和」。山科海軍工廠としてお馴染みの川尻 貨津己会員によるモデルアート誌作例で、バンカースタジオの3Dプリントパーツをフルで使用し、その他の部分もディテールバランスを徹底的に整えた力作となっていました。
最後に私の作品群ですが、先日のブログでもご紹介したように、今回は商船メインとなりました。スケールモデル群の中ではあまり目立たないか? と思ったのですが、思いのほか多くの方からお声がけをいただき、商船モデルのお好きな方が意外と多いことに気付かされました。
(当初は3作品を持ち込み、2作品ずつの入れ替え展示を予定でしたのですが、スペースに空きがあったため、3点の同時出展が叶いました)
今回の新作「さんふらわあ きりしま」(海道塾)
せっかくの機会ですので、今回の「モデフェス2024」に合わせて製作した新作をご紹介します。これは「商船三井さんふらわあ」が運航し、大阪南港と鹿児島県志布志港を結ぶ長距離フェリー1/700「さんふらわあ きりしま」です。(実船は写真背景左奥)
このキットは、フェリー客船スケールモデルディーラーの「海道塾 https://x.com/tanooma 」さんが頒布されているもので、船体をはじめとするパーツ群はフル3Dプリント製の高精細モデルです。昨年のモデフェスの物販ブースにて入手し、無事に今年のモデフェスへの完成品出展が叶いました。(製作記は後日、当ブログに掲載予定です)
ちなみに展示会終了後、夕日に照らされる埠頭で実船とのコラボ撮影をしていたところ、このキットを開発された海道塾塾長の、たのおまさんから声をかけていただく一幕があり――、
今回、頒布されていた新製品「さんふらわあ くれない・むらさき」の完成サンプルを並べての撮影会となりました。(写真右側)左側の「きりしま」と比較すると、LNG燃料の採用やその他の新機軸、船体の大型化も相まって、船容が複雑化していることが良くわかります。
船体形状の確認中のたのおま塾長。会期中はキットの開発秘話や今後の展望など、色々と興味深いお話を聞かせて頂きました。こうして実船と比較し、同じ光を浴びることで、改めて形状把握の正確さ、細部ディテールの確かさを再認識させられます。
もちろん、私も「さんふらわあ くれない・むらさき」を1隻購入しました。海道塾は「ワンダーフェスティバル」などの同人イベントにも参加しておられますので、製品が気になる方は、ぜひチェックなさってください。
(来年のモデフェスでのお披露目に向けて、こちらも製作を楽しみつつがんばりたいと思います)
こっそり見せていただいた作品群
最後に、正式な形での展示ではないものの、会場でこっそり見せていただいた作品群をご紹介します。これは「特選空母」に製作記を掲載中の1/350陸軍空母「熊野丸」(通称:くまさん)。プラ板によるスクラッチで主要部は概ね完成し、あとは塗装を待つのみというところまで進展していました。
いっぽう、こちらは「模型の絆」のヤマちんさんが製作された、1/350戦艦「土佐」。スマートな船体はフルスクラッチによるもので、後部に3基並んだ連装砲塔と広い航空作業甲板が特徴。今回、正式に出展されていないのが本当にもったいないと感じる力作でした。
2日間の会期中は卓やその他のブースにて、多くの皆さまからお声がけをいただきまして、まことにありがとうございました。
今回のモデフェスでは、3Dプリント作家の方の交流をさせていただく機会が多くあり、当工房との今後の協力などについても少しお話させていただきました。良いご縁をたくさんいただき、イベントを開催していただいた主催者の皆さまや出展者の皆さま、その他、全ての関係者の皆さまに心より感謝を申し上げます。