艦船模型製作代行のご依頼をいただいて製作していた、1/700原子力航空母艦「CV-41 ミッドウェイ」が完成しました。今回は完成写真をご紹介します。
1/700航空母艦「CV-41 ミッドウェイ」全景画像
1/700航空母艦「CV-41 ミッドウェイ」、左舷艦首側からの見下ろしアングル。1/700の空母ミッドウェイは2024年現在、プラキットでは発売されていないため、オレンジホビーのレジン&エッチングキットを組みました。
1/700航空母艦「CV-41 ミッドウェイ」、左舷艦尾からの全景。本艦は太平洋戦争中の1943年に起工された通常動力型空母ですが、戦後の度重なる改装によって近代化が繰り返され、1992年まで現役を務めました。その間、艦載機もF-4UからF/A-18に至るまでの幅広い機種を搭載し、アメリカ海軍の空母史の中でも燦然と光り輝く名艦のひとつです。
右舷側からの全景。就役時に49.68mだった全幅は78.79mまで拡幅され、本艦特有のマッシブさを演出しています。その一方で、艦橋構造物は戦時型のアメリカ空母の特徴を色濃く残しており、非常に魅力的な艦容を見せてくれます。
右舷艦尾からの様子。艦載機はA-6系の3機種と艦載ヘリのSH-3の計15機が付属していたので、全て製作しました。艦載車両も同様で、詳細は当ページの中段以降に掲載しております。
1/700航空母艦「CV-41 ミッドウェイ」細部ディテール
1/700航空母艦「CV-41 ミッドウェイ」、右舷艦首付近のクローズアップ。側面ディテールは比較的シンプルで、右舷側にはシースパローの8連装発射機が備わります。
キットは主要パーツがフルレジンで構成されており、艦橋構造物も当然のようにレジン成形となっています。スポンソンや足場、手すりやラッタルはエッチングで用意されているため、組み立て前に水平面と垂直面の塗り分けを済ませてから取り付けました。
別角度。レーダーやクロスツリーもキット付属のエッチングによるもので、オレンジホビーのキットは、そのまま組むだけでもフルディテールアップ準拠で構成されていることが分かります。
右舷艦尾は、格納庫の外壁が少し窪んだところあり、エンタープライズ以降の原子力空母とは少し異なった入り組んだディテールが見て取れます。
艦尾メンテナンスデッキのクローズアップ。主要部分はレジンパーツで構成され、見張所や足場、各種張り出しはエッチングによるものです。この辺りは説明書の表記が少々簡略すぎることもあり、形状の把握に苦労しました。
左舷中央部のフレネル式着艦誘導灯と、規則正しく並んだライフラフトコンテナ。アングルドデッキの白線と、右側の紅白の警戒線は(キット付属のインレタが使えなかったので)塗装で再現しました。
艦尾左舷付近には、シースパロー発射機やファランクス(CIWS)、着艦指揮所などが密集して見ごたえのあるポイントです。飛行甲板外周部のセーフティネットや手すり、ブルワークなどは全てキットに付属しているエッチングで(レジンパーツの収縮に対して)サイズが少し長めとなっていたため、端々を少し切り詰めつつ取り付けました。
艦中央部の様子。これほど巨大なフルレジンキットとなると、船体と飛行甲板の合わせも一筋縄ではいかないので、曲げ直しで修正が聞かない部分については(飛行甲板裏側に)切り込みを複数入れ、艦首のアールもエポキシ接着剤&クランプによる固定で強制的に沿わせました。
艦載機と甲板作業車の詳細
艦載機は、キットに付属のレジン&エッチングパーツを組みました。これは「A-6E イントルーダー」×6機の完成写真で、エッチングパーツは1機あたり16枚と、かなり多めの構成です。
続いて「EA-6B プラウラー」×4機の完成状態。今回使用したキットにはパーツの封入ミスがあり、主翼のパーツの入数が不足していた(代わりにEA-6Bのフェアリングが余分に付属)ため、足りない主翼はレジンで複製して補填しました。
こちらは、空中給油機型の「KA-6D タンカー」×2機の完成写真です。この機体は、機体下部に3本のタンクを搭載しているため、レジンパーツの数も他の2機種と比較して多めに設定されています。
最後は艦載ヘリコプターの「SH-3 シーキング」×3機。エッチングのメインローターは少し垂れ下がった状態とし、キャノピーのデカールは付属していなかったので筆塗りで対処しました。
こちらは艦載車両の全景。各社とも、タイヤは概ね別パーツとなっていたため、車高の安定やアライメントがズレないように留意しました。
1/700航空母艦「CV-41 ミッドウェイ」俯瞰画像
見下ろしアングルで見た、1/700航空母艦「CV-41 ミッドウェイ」。艦首の飛行甲板幅が本来の全幅だと思うと、アングルドデッキとエレベーターの張り出しがいかに大きいかを実感させられます。
艦尾側からのカット。キット付属の艦載機は計15機ということで、1990年代の米空母としては少しすくな目かと思ったのですが、こうして飛行甲板上に並べてみると、雑然としない程度で丁度良い機数という気がします。
今回製作したキットはレジンパーツの入数不足やインレタの使用不可能問題など、複数の障害がありましたが、いざ完成させてみると非常にシャープで文句ないカッコよさに仕上がりました。改めて、通常動力型の近代型米空母の構造美を実感させられる思いです。
オレンジホビーの1/700ミッドウェイは、以前にも製作ご依頼をいただいていたのですが、直前に(お客さまの急な事情で)キャンセルとなり、今回が初製作となりました。
完成度には私自身も満足しているいっぽうでレジンパーツには気泡などが少々多く、説明書の解読難度の高さなどもあってハードルはかなり高いキットであるように思いました。今回の製作記は、リカバリーネタの多い記事となりましたので、今後製作される方に参考にしていただけると幸いです。