2025年の新春製作記第一弾として、昨年秋にプライベートで製作した、ダイリンモデル1/700東京湾汽船「葵丸」の製作をご紹介します。
ダイリンモデルは、知る人ぞ知る艦船や船舶を1/700スケールの3Dプリントモデルとして精力的に販売されているディーラーです。製品はBOOTHを介してオンライン購入することができ、ピクシブのアカウントがあれば誰でも利用できます。
ダイリンモデルの代表の方とは、以前にモデルアート誌のジオラマ作例で(潜水艇を提供いただくなどの)ご縁があり、SNSなどでも交流させて頂いておりました。
ラインナップには民間船も豊富に揃っていたので以前から注目していたのですが、同じく3Dプリントモデルの大物、海道塾1/700フェリー「さんふらわあ きりしま」を完成させた勢いもあり、1/700東京湾汽船「葵丸」を製作することに決めました。
キットは船体から上部構造物、更には通風筒やダビットまでが一体化され、パーツ数は最低限に抑えられています。船体下部のサポートはピン状ではなく、太くて頑丈に出力されていますので、ホビー用の鋸で豪快にカットしました。
樹脂は半透明ということで、そのままでは形状の確認が難しかったため、まずはクアトロポルテのプライマーサーフェーサーを軽めに吹いて細部を確認します。
3Dプリントモデルということで多少の積層痕はありますが、いずれも修正可能な範囲です。ただ、モールドにかかる部分もありますので、そうした箇所は予めモールドを削り、あとから再生する流れで処理しました。
積層痕の目立つ部分をサンディングし、消えたモールドはプラ板で再生します。同時に舷窓も0.5mmのドリルでさらい直し、モールドのメリハリを強調しました。
その他、カケや亀裂なども同時に処理します。樹脂がかなり固めですので、液状の瞬間接着剤を流しても切削のバランスを損なうことはありませんでした。(ここではシアノンを使用)
積層痕や亀裂を埋め、表面状態が整った「葵丸」。ダビットやクレーンなどの小物類を破損したときに備えて、キットには予備のパーツが多めにセットされているので助かります。
船体が整った時点で、ジェルメディウムにて海面ベースを製作しました。全長9cmほどの小型モデルという事で、ケースにはWAVEの「T・ケース【S】ベーシックブラック」を使用しています。
航行波は、いつものようにマグネシウム粉末を加えたメディウムを盛りました。波の立ち方などは、横浜港で活躍した観光船「ロイヤルウイング」の写真を参考にしています。
「東京湾汽船」は現在の「東海汽船」の前身にあたる海運会社で、渋沢栄一氏の構想によって1889年に設立。「葵丸」は1933年に就役し、大島観光への旅客輸送に活躍したものの、1939年12月に座礁事故を起こして全損――。わずか6年の短い生涯を終えました。
同じ東京湾汽船の「菊丸」や「橘丸」が長く活躍したのに対し、あまり話題に上ることが少ない「葵丸」ではありますが、均整の取れた船容は模型映え抜群ですので、ぜひ最後までご覧ください。