今回は、カーモデルの製作代行品として製作していた、フィニッシャーズ 1/24「ティレル022 ヤマハ」トランスキットの完成写真をご紹介します。
上位2強を脅かすパフォーマンスを見せた、1994年型「ティレル022」
「ティレル022」は、F1コンストラクター「ティレル レーシング オーガニゼーションLtd」が1994年のF1世界選手権に投入したマシンで、デザイナーはチームの共同代表でもある、ハーベイ・ポスルスウェイト博士を中心に、マイク・ガスコイン、ジャン=クロード・ミジョーからなるエンジニアリングチームが手がけました。
エンジンにはジャッドGVベースのV10「ヤマハOX10B」を採用し、ドライバーには日本人3人目のF1レギュラードライバー、片山右京選手と、1992年のル・マン24時間優勝者、マーク・ブランデル選手を起用。シーズン中の度重なるレギュレーション変更に対応しつつ、総獲得ポイントは13点――、コンストラクターズランキング7位を獲得しました。
今回製作したのは、片山右京選手がドライブしたカーナンバー3番のマシンです。シーズン中にはウィリアムズ、ベネトンの2強に食い込む走りで幾度か表彰台圏内に食い込む走りを見せ、日本人ファンの多くの記憶に残る活躍をしました。
ハセガワ「ティレル021」を、一部流用して仕上げるトランスキット
キットはフィニッシャーズから発売された製品で、ハセガワの1/24「ティレル021」の部品を流用して組み立てる、トランスキットの形式をとっています。
キット内容は、レジン成形のボディとフロントウイング、デカールという構成で、時期的には第3戦サンマリノGPあたりを想定して設計されている模様です。
各部のクローズアップと、俯瞰でのカット
フィニッシャーズ1/24「ティレル022 ヤマハ」フロントセクションのクローズアップ。フロントサスはハセガワの021用パーツですが、フィニッシャーズの022ボディとの取り付け位置に大きな乖離があったため、取り付け間隔を大幅に調整し、ジオメトリーはプラロッドで自作したスペーサーを挟むことで修正しました。
コクピットからリアウイングにかけての様子。フューエルリッドは、サーキットのピットレイアウトによっては左側に設けられることもありますが、キットでは右側に配置されていました。
見下ろしアングル。キットパーツ以外では、シートベルトにフィニッシャーズのディテールアップパーツを使用し、タイヤレターはエッチングのステンシルを用いて塗装表現としています。
1990年代フォーミュラカーならでのワイド&ローフォルム
ローアングルで見たリアビュー。ティレルとしては初のセミオートマチックトランスミッションが採用されるなどの新機軸が用いられるいっぽう、空力デザインは空力80年代終盤から続くオーソドックスなスタイルに改められ、そのスタイリングはザウバーC12と共通点が多いことが良く話題となります。
「ティレル019」から続くハイノーズが廃止されたことも手伝い、コンベンショナルなフォルムを持つに至った「ティレル022」。スポンサーも少なく、すっきりとした印象を持つこのマシンが上位勢に割って入る姿は、見る人に強烈な印象を残しました。
2年ぶりのカーモデルのご依頼品は、日本のF1ファンにとっても思い入れの深い「ティレル022」ということで、私も当時を思い出しながら、懐かしい気持ちで製作させていただきました。フィニッシャーズのトランスキットは、想像以上に難易度の高い一品でしたが、なかなか完成品を見る機会のない車種ということもあり、意義深い製作になったと思います。