艦船模型製作代行のご依頼をいただき、トランペッターモデルの1/200戦艦『BB-39 アリゾナ』を製作中です。
今後はしばらく、船体の製作の様子をご紹介して参ります。
非常に目立つパーティングラインと接着面
前回までに、巨大な船体の上下の接着が完了しましたが、船体の製作はここからが本番となります。
ご覧のように非常に目立つパーティングラインと接着面を見えなくしていく処理はひたすら地味な作業の連続になるのですが、モデラーとしての基本的な腕の差が大きく出るところでもありますので、慎重に仕上げていきました。
まずは全体に黒サーフェイサーを塗布
下地塗装と船体表面の状況確認のために、まずは全体に黒サーフェイサーを塗布しました。
なお、トランペッターモデルのキットには、離型材の脂分が大量に付着していて、そのままでは塗装できないので、事前に綿密な脱脂を行っています。
艦首付近を右舷側から見た様子。
見ての通り、船体の上下の接着部の合わせ目が非常に目立ちます。
こちらは船体中央部。
船体下部のパーツにはヒケも多く、この写真に収まる部分だけでも、目立つヒケが5カ所も確認されました。
もちろん、右舷だけでなく左舷側も同様でしたので、合わせ目とヒケの処理は並行して行うことにしました。
ポリパテを幅20mm程度の帯状に盛り付け
合わせ目とヒケの双方をカバーするため、船体上下の境界付近に、ポリパテを幅20mm程度の帯状に盛り付けました。
普段、私は合わせ目の処理には瞬着パテを使用することが多く、ポリパテは滅多に使用しないのですが、今回ばかりは合わせ目の段差やヒケの加減が瞬着パテでは補いきれなかったので、(自作のヘラで)1mmほどの厚みに豪快に盛りつけました。
パテが硬化したら、今後はひたすらド根性で削り込みます。
サンドペーパーは、板張りのものも含めて、まずは220番で粗削りを行い、続いて320番→400番→800番という順番で処理しました。
上の写真は、およそ合わせ目の段付きが解消し、船底部のパーティングラインが消えるまで削り込んだ様子です。
外周部の総延長が2メートル程もあるので、区画ごとに区切って慎重に処理しました。
最終仕上げで800番までペーパーをかけたといっても、再びサフを吹くと、消え切っていない粗目のペーパー傷が再び浮かび上がるので、今度は傷が残った部分を中心に、400番以上のペーパーで順番に再処理を行いました。
ここでは、400番→1000番→1500番という順番に仕上げていきます。
塗膜の厚さを意識しつつ、最終の1500番をかけた段階でサフが落ち、プラ地とパテ地が出てくるように神経を集中しながら進め、ようやく段差を完全に処理することができました。
再び、合わせ目にサフを吹いた様子。
合わせ目もかなり目立たなくなってきましたが、プラとパテの素材感の違いがあるため、どうしても下地が見えてきてしまいます。
そこで今回は、最後にもうひと手間をかけることにしました。
バフレックスによる研磨
これが最終処理として、バフレックスによる研磨を終えた様子です。
カーモデルの中研ぎや、デカールの段差落としに愛用しているツールですが、粒子が均一化していることで塗膜の地肌のキメを一定に整えることができるので、広い面積において、素材感の違いを消したいときにもたいへん役立ちます。
写真上側の処理前と比べると、差は一目瞭然です。
今回の1/200戦艦『BB-36 アリゾナ』の船体の下地処理は、この記事だけを見ると簡単そうに見えるかもしれませんが、実際には多少の試行錯誤もあり、丸4日ほどかかってしまいました。
とはいえ、船体上下の一体化は、『アリゾナ』をご依頼いただいたときから最も懸念していた事柄でしたので、無事に解決することができて安心しました。
次回は、船体舷側の外板継ぎ目のモールド追加や、船体の塗装についてご紹介します。