艦船模型製作代行のご依頼をいただき、1/700航空母艦「瑞鶴」のマリアナ沖海戦時を製作しています。
今回が、この「瑞鶴」製作記の最終回となります。
最終回はディスプレイ用の仕上げを進めて参ります。
艦載機群を飛行甲板に固定
空母本体の製作も終わり、いよいよ最終仕上げを残すのみとなりました。
これは、第10回の製作記で仕上がった艦載機群を飛行甲板に固定した様子です。
先頭から「零戦52型」、「艦上爆撃機 彗星」、「艦上攻撃機 天山」の順で、全43機を配置しています。
船体のウェザリングに合わせて、艦載機群にもグレーのスミ入れ塗料で軽くウォッシングを行いました。
各機の間隔は、プロペラが他の機に接触しないギリギリのクリアランスで調整しています。
その甲斐あって、飛行甲板後端部の着艦表示へのはみ出しは最低限に抑えることができました。
軍艦旗とZ旗、菊花紋章の取り付け
マストには(お客さまのご指定通り)軍艦旗とZ旗を取り付け、ナノドレッドの菊花紋章を取り付ければ、瑞鶴本体は完成となります。
余談:「対空兵装を増強し、迷彩塗装を施していない瑞鶴」のイメージは……
余談ですが、「対空兵装を増強し、迷彩塗装を施していない瑞鶴」といえば、個人的には東宝映画「連合艦隊」に登場した、「囮作戦に奮戦する瑞鶴」のイメージが強いです。
おそらく、特撮戦闘シーンの絵的なイメージを優先して【迷彩なし】としたのだと思いますが、悲壮感のある戦いの中にも、正規空母の頼もしさを保った勇姿はとても印象深いものがありました。
作画:鍋弓わた【あとりえ極星堂】https://www.aksd.net/
ディスプレイ関係の仕上げ
話は少し横道に逸れましたが、あとはディスプレイ関係の仕上げを残すのみです。
第13回の製作記でご紹介した海面ベースを、木製台座と船体の間に挟み込めば、いよいよ完成となります。
木製台座は、厚さ23mmのホワイトオークの無垢板を加工し、ワトコオイルのナチュラルフィニッシュで処理しました。
この手の木工作業には、プロクソンのフライスマシンが重宝しています。
最後は、銘板の製作です。
今回はお客さまから、「艦船模型スペシャル」誌の作例に取り付けているものと同じ銘板をご用命いただきましたので、パソコン上で作成したデータを写真用紙に印刷し、透明アクリル板に両面テープで貼り付ける方法で自作しました。
貼り付けに使用する両面テープは、薄くて透明度が高いものがお勧めです。
美術用やDIY用品としても多数の製品が発売されていますが、模型用品の中では、ハセガワから発売されているトライツールの「両面粘着シート」がお勧めです。
印刷したデータをアクリル板に裏張りして完成した作品銘板。
この方法は、「鳶色の会 https://tobiiro.jimdofree.com/ 」の鳶色2号さんこと、早野治朗さんに教えて頂いたもので、低コストで済むうえに作業性が良く、デザインの自由度もあるので気に入っています。
日本海軍が機動部隊の体裁を整えて臨んだ最後の決戦
攻撃隊発艦に備え、風上に向けて最大船速で爆走する「瑞鶴」。
マリアナ沖海戦は、日本海軍が機動部隊の体裁を整えて臨んだ最後の決戦でもありますので、当時の将兵の覚悟が伝わる作品に仕上がっていればと思います。
次回は、完成写真をご紹介します。