艦船模型製作代行のご依頼をいただき、ピットロードの1/700アメリカ海軍航空母艦「CVN-71 セオドア・ルーズベルト」を製作中です。
今回からは、最後の構造物として艦橋の製作に取り掛かります。使用するのはファイブスターモデルのエッチングで、これは基部から最下層にかけてのパーツ構成です。(赤で囲った部分が基部のパーツ)
基部のパーツは、裏側に折り曲げラインなどが全く用意されていなかったので、キットパーツ(写真左)の平面形状をトレースしつつ曲げました。角の部分は直角に曲げずに、軽くアールを持たせています。
続いて、ブリッジのパーツを下層から順番に組み込みます。これは最下層部のパーツ構成ですが、この項では赤丸内の側壁パーツに最後まで苦しめられることになりました。
まずは最下層の床面部分を接着しました。ブルワークは一体となっているので、90度に谷折りしてから接着しました。
続いて、上層に向かって各層を積み上げていくのですが、ここで(写真左側)の側壁パーツが問題となりました。このパーツは3層分が一体で抜かれているので、フロアを差し込む切り欠きが用意されていません。
そこで、フロアと干渉する部分にアートナイフで切り込み入れつつ「知恵の輪」のように組んでいったのですが、フロアを所定の位置に差し込むことがどうしてもできないので――、
嵌合させることは諦め、側壁パーツを一層ごとに分割して「下層から一段ずつ積み上げる方式」に変更しました。これは、2層目を組んだ様子です。
続いて3層目に移りますが、ここは赤丸内の側壁を緑丸のフロアパーツの上に置かないと組み上がらない構成でした。この時点で「どのみち分割しないと組めない構造」だったことが、ようやくはっきりしました。(もちろん説明書には、いっさいの記載なし)
最上層と天蓋の組み込みの様子。ブリッジ周りには、全周にわたってスジ彫り状のモールドがはいっており、これが折り曲げ指定なのか? 床材との接着面なのか? それともただのディテールなのか? はたまた別パーツの接着位置の目印なのか? といった具合に疑問が山積し、検証しながら組み立てなくてはいけない状況にはたいへん苦慮しました。
天蓋を組み込み、別に作っておいた張り出しを取り付ければ、艦橋の芯になる部分は完成です。
作業中は(あまりにも必死なので)意識する余裕さえないのですが、こうしてブログ記事に纏めてみると、改めて「本当に酷いパーツセットだな」という印象です。形状自体はきっちり抑えて設計されているのに、どうしてここまでユーザーに対して無責任になれるのか? このメーカーのパーツには、これまでも大なり小なりこうした印象がありましたが、セオドア・ルーズベルト用に関しては「(説明も含めて)真っ当な商品に仕立てることを投げている」としか思えません。