艦船模型製作代行のご依頼をいただき、1/700巡洋戦艦「フッド」を製作中です。今回は船体の基本部の製作記事の2回目です。

今回はシェルターデッキの処理をご紹介します。ここは、ディテールアップパーツに切り替えに備えて切削が必要なモールドが非常に多いので、予め丁寧に落としておきました。(緑がホースリール、赤がボートクラッチ)

側面の開口部の内部と外部隔壁のパーツ構成は非常に繊細です。特に内部の柱は薄刃ニッパを使用しないと確実に折れてしまう細さ&ゲート構成になっていましたので、切り出し&ゲート処理は慎重におこないました。

内部の柱を接着した様子。接着面積も少なく、取り付けガイドもないに等しい状態でしたので、ゼリー状瞬間接着剤で仮付けの後、流し込みタイプのセメントSPを流してしっかりと固定しました。(外れたら絶対に直せない箇所ですので、接着強度は重要です)

シェルターデッキを仮付けした様子。開口部から覗く無数の柱と内部隔壁が、絶妙な構造美を演出してくれています。

デッキパーツの合い自体は良好なのですが、パーツの構造上、1mm程度後ろに下がったところでも「パチっ」とはまってしまうので、接着の際には確実な位置合わせが重要になります。(塗装と木製甲板貼り付けの工程を考え、この時点では未接着です)

ここでようやく、下地塗装を開始します。いつものように、透け止めも兼ねてガイアノーツの「サーフェイサーエヴォ ブラック」を全体に吹きました。

続いて、外舷色として(お客さまからご指定いただいた)Mr.カラー338「グレー FS36495」を重ねました。吃水線の黒ラインは、黒サフを塗り残す方法で塗り分けています。

「艦船模型を製作していて、最も苦痛を感じる工程は?」と聞かれれば、私の場合は、今回紹介している「モールド撤去」です。
ディテールアップパーツに切り替えるために必須の処理ではあるものの「デッキ上に施された繊細なモールドを(一時的とはいえ)無くしてしまう寂しさ」と「必要な箇所を傷つけないように気を使う点」「工程が目に見えて進行しない(むしろ後退している)」点などが、その理由です。
とはいえ、ここをおろそかにすると終盤の仕上がりに確実に影響してしまいますので、根気よく進めていくほかはありません。次回は船体基本部の塗り分けと、木製甲板の貼り付けをご紹介します。