艦船模型製作代行のご依頼をいただき、フジミの1/700重巡洋艦「高雄」を製作中です。

今回は煙突の詳細をご紹介します。これまでのディテールアップでは、煙突はキットパーツ+エッチング(+レジンパーツの蒸気捨て管など)を組み合わせることがほとんでしたが、今回は丸ごと、バンカースタジオの3Dプリントパーツに交換します。

バンカースタジオの3Dプリント煙突の全景。ファンネルキャップやジャッキステーはもちろん、蒸気捨管や内部の仕切りまで一体で出力されていますが、基部などにはキットパーツを使用する箇所もあるので、事前にパーツの形状をしっかりと観察し「どこまでを3Dに置き換え、キットパーツはどこまでが必要か」を事前にはあくしておく必要があります。

なお、一見しただけでは目立たないのですが、バンカースタジオパーツには、基部から伸びる配管も(1本単位で)付属しているので、忘れないように切り出して保管しておきます。

3Dプリントパーツの樹脂は強度があまり高くないので、切り出しの際にはとにかく破損に気を付ける必要があります。以下、私の切り出し方法ですが、まずはこのように前後のフレームを切り取り、ニッパーを入れやすくするところから開始します。

サポートの切り出しには、ケイバの「光造形サポート材用ニッパー」が役立ちます。このニッパーは先のピタリと合うので(ズレた状態でハマる)一般的なニッパーと比較して、数段切れ味も良く、パーツにかける負担も少なくて済みます。

3Dプリント用ニッパーでサポートをカットしている様子。刃は先の方が薄いので、なるべく先の方を使用するのがコツです。

サポートをカットしたら、次はピンセットでサポートを根元から折り取ります。こうすることで隣のサポートにも刃を入れやすくなるので、同様の作業を繰り返しながら、辛抱強くカットを進めていきます。

外側のサポートのカットが終わったら、次は奥まった部分のサポートカットですが、ここは刃が入りにくいので超音波カッターを使用しました。超音波カッターでカットする際には、刃が過熱しすぎないように、スイッチを「チョンチョン」とピンポイントで押しつつ、加減しながらおこないます。

カットが完了した煙突のサポート面。ここは最終的に400番程度のサンドペーパーを当てて平滑に均しておきました。

第一、第二煙突を仮置きした様子。キットパーツは煙突の前側の遠路も再現されていますが、バンカースタジオパーツは見える範囲のみのモデリングです。(こちらの方が組み立て易く、モデラー目線でもありがたい配慮です)

今回の1/700重巡洋艦「高雄」では、バンカースタジオの3Dプリントパーツを複数使用していますが、煙突の切り出しの難易度はちょうど中間くらいですので、最初に処理するにはうってつけでした。艦橋などを取り付ける兼ね合いもあり、この煙突の取り付けには多少の調整が必要でしたので、それらの詳細は後日、ご紹介します。


