艦船模型製作代行のご依頼をいただき、1/700重巡洋艦「スターリングラード」を製作中です。
今回は主にレーダーの製作になりますが、その前に艦載艇の製作をご紹介します。キットに付属している艦載艇は、汽艇が2種類と8m程度の小型カッターです。これを、お客さまから提供して頂いた資料に近いイメージに塗装して取り付けました。
なお、カッターについては、キットの入数が足りなかったので、サイズや形状がほぼ共通しているナノ・ドレッドシリーズのパーツから2隻を追加しました(赤丸部分)。コンブリックのキットは、説明書の取り付け指示と掲載図面に(形状や搭載数などの)相違が良く見られるので、どちらを基準にするか? 悩む場面が多いです。
続いてはレーダーですが(対空兵装と同様に)お客さまのご希望で、より近代的なタイプに交換しました。使用したのは、フライホークのエッチングパーツ(品番:FH700101)です。
メインマストには、長距離対空捜索用三次元レーダー「通称:トップセイル」の取り付けをご要望いただきました。フライホークのパーツは「MR-600 ヴォスホード」と背中合わせに、形状の異なる二次元長距離対空レーダー「MR-500 クリーヴェル」を装備したタイプ(MR-800)をモデル化しており、パーツ構成はかなり複雑です。
各々のパーツを組み立てつつ、形にしていきます。説明書は組み立て指示が不明瞭だったので、ひとまずひとつひとつのパーツを形にしつつ、どのように組んでいくかを検討しました。
バラバラのパーツ群をブロックごとに仕上げた様子。これらを知恵の輪の様に組んでいきますが、実は、この時点で組み方を間違っている箇所があることに(マストへの取り付けを完了したタイミングで)気付き、一旦、バラしてから組み直しました。
また、最初に組んだ時は足場の高さも不自然でしたので、その点も手直ししています。この写真は再製作後の状態で(フライホークパーツでは省略されていた)軸の部分は2mmのプラ丸棒で補填しました。
こちらは後部マストに取り付ける、対空警戒/ 射撃指揮レーダー「MR-320 トパーズ(通称: ストラットペア)」です。このレーダーは同じ形状のものを2対にしたもので(例によって軸は省略されていたので)1mm径のプラ丸棒で自作しました。
前後マスト上のレーダーの取付状況。バランスが崩れすぎないか? と少し気になっていたのですが、程よい「頭でっかち感」が東側艦艇らしい雰囲気を引き立たせてくれました。
レーダー取り付け後の全景。あとはデッキや構造物上のエッチングの取り付けを少々残していることと、汎用の手摺パーツの取り付け、空中線と旗などを取り付けて完成となります。
旧ソ連のレーダーシステムは複雑な構成となっているため、形状の把握や組み立て方法を考えるのに苦労しましたが、完成後の模型映えは抜群です。スターリングラード級は(旧ソ連艦艇としては)比較的、洗練された艦容を持っていますが、対空火器やレーダーを近代的なものに改めることで、複雑怪奇な構造美が加味されました。