艦船模型製作代行のご依頼をいただき、1/700装甲艦(ポケット戦艦)「アドミラル・グラーフシュペー」を製作中です。
今回は兵装類の製作記の最終回です。まずは37mm連装砲の「Flak C30」からで、この砲はエッチング×5パーツで構成されています。
砲座には砲主席も再現され、砲架のパーツは二重にかさねて使用します。
製作数は全6基となりますので、各パーツの曲げ角度などにバラツキが出ないように注力しました。
37mm Flak C30の完成状態。各パーツの接着面積は非常に小さいため、強度を確保するためにゼリー状瞬間接着剤にて位置決めした後、ごく少量の液状瞬間接着剤を流し込んで補強しました。
続いては、20mm単装機銃の「C38」です。製作数は全16門で(写真に写っていない銃座も含めて)計64枚のエッチングを切り出すだけでも、なかなか大変な作業です。
銃身は肩当てを2枚に重ね、銃架と重なる部分と弾倉を90度に曲げます。銃架は、本体2枚貼り合わせて更に弾倉ラックを重ね、銃身取り付け部を90度に曲げ、最後に薬莢受けを箱型に組みました。
最後に銃座を切り出し、各パーツを少量の瞬間接着剤で組み立てます。
(写真の背景に写っているマットのマス目の一辺は10mmですので、エッチングの細かさが良くわかると思います)
16門の20mm機銃 C38が仕上がった様子。私もこれまで、1000隻以上の艦船模型を製作して参りましたが、この機銃の製作難度は過去最強クラスでした。
武装製作の最後は、53cm魚雷発射管です。エッチングの構成は、キットのプラパーツの表面ディテールを落としから巻き付ける方式で、ハッチ&リベットのパーツと補強板の2枚です。
エッチング取り付け後の発射管。補強板のエッチングは、横方向の長さが足りていない一方で、縦方向が異様に長く、かなり余ってしまったので、切り取って横方向の不足部分に付け足しました。このパーツセットには、開発側のケアレスミスと思われる箇所が多く、妙なところで手間を取られる展開が続いています。
フルエッチングの機関砲を大量に揃え、仕上がりのレベルを整えるのはなかなかの難行。1/700のドイツ艦用兵装は、ディテールアップパーツのラインナップがまだまだ少ないので、もう少し使いやすい製品の充実を切に願います。