艦船模型製作代行のご依頼をいただき、ピットロードの1/700戦艦「大和」【就役時】を製作中です。

今回は後部マストの製作です。製作と言っても、今回は組み上がった状態で出力されているバンカースタジオのパーツを使用しますので、主にパーツレビューと切り離しの工程をご紹介します。
まず使用したパーツですが、同社の品番IJN70113「戦艦 大和用 三脚檣 1941」で、ピットロードキット用に設計された就役時のマストです。

パーツはチャック付きのビニール小袋に収められていますが、取り出す際にはチャック部分にひっかかると破損などのリスクがありますので、ハサミで切り開きつつ開封しました。

パーツ全景。メインマストとヤード&支柱などが一体で出力され、ラッタルや空中線ブラケットなども再現されています。

後部からの全景。サポートは主に後部に集中しています。本数が少なめに設定されているのは嬉しい点です。

切り出しにあたっては、まず外側の保護フレームからはじめます。ここでは、通常のプラ用ニッパーを使用しました。

フレームを切り出す際には、なるべく大きな衝撃を与えないように力加減を調整するとともに、誤ってマスト本体にぶつけたりしないように細心の注意を払いました。

続いてはいよいよサポートの切り出しに進みますが、今回の様に少し奥まったところにあるサポートを切り出すには、マルト長谷川工作所の「ケイバ 光造形サポート材用ニッパー 120mm」が便利です。

サポートをカットしている様子。このニッパーは刃部がコンパクトで、狭く入り組んだ箇所にも刃先を差し込みやすく、つまみながら操作することで視界を遮らず作業できるのがメリットです。刃はなるべく先の方を使用すると、厚みによる影響も受けづらいので、ルーペで切断位置を確認しつつ慎重に処理しました。

パーツとサポートの間をカットしたら、次は根元を外します。この作業は、ニッパーの刃を入れると刃の厚みでパーツが押されたり、衝撃が伝わって破損するリスクがあるので、写真の様にピンセットで「折り取る」要領で進めました。

サポート除去後の様子。ようやくマスト本体が姿を現しました。高精度にプリントされており、積層痕などがほとんど見えない様子には本当に驚かされます。

最後に塗装ですが、まずは全体を黒サフで処理し、続いて上部をマスキングして軍艦色を重ねました。あまり強くマスキングすると、剥がした時に破損が生じるため、糊の粘着力をなるべく減らしてからふんわり軽く重ねる程度にしています。

塗り分け後の後部マスト。マスト本体とラッタルとの隙間などが綺麗に揃っている様子は、3Dプリントパーツならではです。

これまで、1/700大和型戦艦のマストのディテールアップには、インフィニモデルの真鍮マストを使うことが多かったのですが、今回はバンカースタジオのマストを初めて投入する機会になりましたので、細かくレビューさせていただきました。今後、同社のマストなどを使用するモデラーの皆さまの参考になりましたら幸いです。