艦船模型製作代行のご依頼を頂き、アオシマの1/350重巡洋艦「鳥海」を製作中です。

今回は船体の塗装をご紹介します。前回までに舷側の別パーツの合わせ目処理を終えましたが、パテ盛りとサンディングの過程で筋彫りが薄くなってしまった箇所があるので、スジボリ堂のBMCタガネで彫り直しておきました。(タガネで直線的な筋彫りを入れる際には、ガイドテープを貼っておくと安心です)

合わせ目を均し、必要なモールドは復活させた舷側部のクローズアップ。この段階で再び黒サフを吹き、2000番のペーパーで全体を整えました。

船体塗装は船底から開始します。まずは艦底色の下地として、ガイアノーツのGS-04「サーフェイサーエヴォ オキサイドレッド」を吹きました。艦底色は隠ぺい力が低いので、下地にオキサイドレッドを吹いておくと発色が安定します。

続いて、Mr.カラーの29「艦底色」を重ねました。スクリューシャフトの周りは吹き残しが生じやすいので、エア圧調整や細吹きを併用しつつ、ムラなく仕上げます。

船底をマスキングしたら、次はデッキ色のMr.カラー606「リノリウム色」を吹きます。この塗料は、以前はMr.カラー特色の日本海軍対潜迷彩セットの付属品として発売されたのちにレギュラーラインナップに加わりました。

リノリウム甲板部のマスキングには、当工房モデルファクトリーハイギヤードの1/350重巡洋艦「高雄」用マスキングシートを使用しました。このシートは「鳥海」用ではないので、全ての箇所に対応しているわけではないのですが、それでも7割がたのマスキングはこれで済むので、塗り分けをスムーズに進めるのにおおいに役立ちました。

黒い部分が専用マスキングシートを使用した部分で、黄色い部分がマスキングテープで補填した箇所です。モデルファクトリーハイギヤードの高雄用マスキングシートは、リテイク前のキットに対応していることから、通風筒やホースリールの塗り分けは非常に能率的です。

塗り分けを終えた前部甲板。砲座や通風筒周りもシャープに塗り分けることができました。(リールのホース部は筆塗りで色を差しています)

後部甲板の様子。テープでマスキングした航空作業甲板周りも自然につながってくれました。

これで、船体と最上甲板周りの塗り分けが完了しました。次は武装の製作に進みます。

今回は汚し塗装などを加えないミュージアムモデル仕立てでの製作をしていることから、合わせ目処理や塗り分けラインの正確さを重視しております。アオシマキットの船体には、吃水線を示す印などもありませんので、マスキングの際には左右がきっちり対象になるように心がけました。