艦船模型製作代行のご依頼をいただき、フライホークの1/700 タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦「CG-52 バンカーヒル」(豪華版)を製作中です。

今回は豪華版キットの特典(?)ともいえる、3Dプリント製マストを製作します。(写真左側)

パーツの切り出しは、セオリーに従って外側のフレームを外すところから始めました。ここの樹脂は分厚いので、使い古した薄刃ニッパーで処理しています。

フレームを取り払った様子。右側の低いマストが前部マスト、左側が後部マストです。

サポートの切り取りには、3Dプリントパーツの切り出しに適した「ケイバ 光造形サポート材用ニッパー」を使用しました。先にパーツ側をカットし、続いて根元を折り取る要領で進めます。

サポートの構造は相当複雑で、正直「切り離しの手順などはあまり考えずに設計したのではないか?」という印象です。刃を入れる過程で様々な箇所に無理がかかるうえ、刃を入れるのが物理的に無理と思える箇所にも、細かなサポートが複雑に張り巡らされていました。

切り出しを終えた後部マスト。なにもかもが一体で出力されているわけではなく、レーダーやアンテナ、手摺り、配線などはエッチングを使用します。

前部マストも同様で、アンテナやレドーム、手摺りなどはエッチングやキットのプラパーツを流用する構成です。

エッチングパーツ取り付け後の前後マスト。後部マストはラッタルと繋がる足場があります。前部マストのラッタルは艦橋と繋がるところで2分割し、マスト側と上構側に分けて取り付けました。

塗り分けは、お客さまからお送りいただいた資料に従い、上部を黒塗装としました。資料写真を見る限り、レドームはSPYレーダーと同色に見えたので(射撃指揮装置表面も含めて)Mr.カラーの325番で仕上げています。

これで主要構造物も完全体となりました。次回からはエッチングパーツの取り付けや空中線などの最終仕上げにかかりますが、明日はCHERRY&ANCHORの飛行機模型完成品の入荷情報をお知らせします。

艦船模型用3Dプリントパーツと一口に言いましても、その完成度はメーカーやブランドによってさまざまですが、フライホークの豪華版に付属のパーツは「そこまで高精細」という印象はなく、積層痕や歪みなどはそれなりに目立つところもあります。
また、最も苦労したのは強度の低さで、これまで私が使用した3Dプリントパーツの中でも最も脆く、破損しやすかったので、これから製作に挑戦される方はくれぐれもご注意ください。