艦船模型製作代行のご依頼をいただき、トランペッターモデルの1/200戦艦『BB-39 アリゾナ』を製作中です。
今回は、木製甲板シートの貼り付けと、シェルター甲板の組み立てとディテールアップの様子をご紹介します。
KAモデルの木製甲板シートには重大な欠陥が!
この写真は、KAモデルのスーパーディテールアップセットに付属の木製甲板シートです。
当初は、今回のアリゾナにはこの木製甲板シートを使用する予定だったのですが、このシートには重大な欠陥があることに気付き、急遽、使用パーツの差し替えを行いました。
その欠陥はなにか? と言いますと、シェルター甲板周りの処理の問題です。
本来なら、最上甲板にはシェルター甲板内壁を避ける切り欠きが必要なはずなのに、KAモデルの木製甲板シートでは、何故か!? この切り欠きがそっくりそのまま省略されてしまっているのです。
解決策:ウッドハンター製の木製甲板シートを導入する
この問題を解決するには、別メーカーのシートを導入するか? 慎重に切り抜くしかないのですが、内壁に合わせて切る方法だと、ケースメイトの外壁を木製甲板シートの上に載せる形となって高さに狂いが生じ、シェルター甲板後端部の壁面と合わなくなってしまう可能性がありました。
そのため、(シェルター甲板外壁に合わせてカットされた)ウッドハンター製のシートを新規に導入することにしました。
ウッドハンターの甲板は、シェルター甲板の切り欠きもちゃんと表現されており、(KAモデル版で、きちんとカットされていなかった)錨鎖導板の切り込みも順調に処理できました。
2020年5月下旬時点では到着まで2カ月かかったウッドハンター製のシート
なお、ウッドハンターの木製甲板シートは、発注した時期が新型コロナウイルス感染拡大の時期と重なったため、到着までおよそ2カ月を要しました。
これ以上遅れると納期に影響がでる可能性があったので、少々肝を冷やしました。
シートには裏面に糊が付いていますが、それだけでは温度湿度などの変化で剥がれに繋がりますので、全面的に接着剤を塗布したうえで貼り付けを行っています。
シェルター甲板のとケースメイト外壁の組み立てを開始
これで、ようやくシェルター甲板のとケースメイト外壁の組み立てを開始できます。
これは、左右のケースメイト外壁の主要部分で、かなりメリハリの効いたモールドが表現されています。
今回は、この外壁部の水密扉と砲扉をエッチングパーツでディテールアップしました。
水密扉は、KAモデルのパーツが実感的だったのですが、砲扉は全く違う形状のものを取り付けるように指示されていたので、エデュアルドのパーツで補填しました。
これは塗装後の様子。
壁面に取り付けられたホースは、KAモデルの印刷済みのエッチングを使う方法もあったのですが、それだけだと奥行き部分が無彩色になってしまうので、モールド全体を塗装することで立体感を演出しました。
ケースメイト外壁部を接着し、副砲を仕込んでシェルター甲板を載せた様子。
ここもネジ止め固定ができれば嬉しい箇所だったのですが、そのような設計はなされていなかったので、エポキシ接着剤と流し込みセメントを併用し、クランプで圧着しました。
光の加減で、船体舷側の外板継ぎ目が少々見えづらくなっていますが、(船体上下の合わせ目をきっちり処理した甲斐あって)船底部側面からバルジにかけての曲面も美しい仕上がりです。
次回は艦載艇の取り付けと、甲板上の小物類の取り付けをご紹介します。