艦船模型製作代行のご依頼を頂き、ピットロードの1/700戦艦「大和」【就役時】を製作中です。
船体の基本部分が出来上がったタイミングで、海面ベースの製作に進みます。まずは、ディスプレイベースに作業用台座と同じ間隔に穴あけをおこない、船体を取り付けます。続いて、ケガキ針を使って船体のアウトラインをケガきました。
船体を取り外すと、このようにケガきのラインが残りますので、このラインの外側に波表現を加えていきます。
まずは、海面のベース色として、Mr.カラーの14「ネイビーブルー」を吹きました。海面色のチョイスは、再現したいシチュエーションや好みにもよっても変わってきますが、個人的にはこの程度の色調が無難であるように感じています。
続いて、アクリル絵の具の盛りつけ用画材「ジェルメディウム」を重ねました。リキテックスのメディウムは乾燥も早く、水でかんたんに落ちてくれるので、個人的にもオススメです。
「ジェルメディウム」は、乾く前に筆の先で叩くようにすると波頭のイメージとなります。一度塗りでは厚みに乏しいので、乾いたら重ね、乾いたら重ね……という工程を計3回繰り返しました。
波頭の表現の次は、航行波を再現します。先ほど外した船体をマスキングテープで養生し、再び台座に取り付けたのち「スーパーヘビージェルメディウム」を船体の周りに盛りつけました。
「スーパーヘビージェルメディウム」は、リキテックスのメディウムの中でも最も固く、ヒケも少ないので航行波の表現に向いています。また、白波表現としてマグネシウムの粉末を混ぜたメディウムも併用しました。
最後に、白波の周りにエアブラシのホワイト塗装でボカし表現を入れれば、航行波の表現も概ね完了です。
仕上げに、平滑部を中心に「ハイグロスバーニッシュ」を軽く重ねました。これもリキテックスのメディウムの一種で、油を引いたような艶で海面表現に深みを与えてくれます。
全体像はこのような具合です。航行波は「白くする箇所」と「透明のまま残しておく箇所」を使い分けることで、奥行き感を演出することができます。
なお、ここで紹介している海面表現は、月刊モデルアート誌の2020年9月号で詳しく紹介しているので、興味のある方はご覧ください。
(以下、同書の通販サイトへのリンクです)
メディウムの重ね塗りは最低でも丸一日は置く必要があるので、海面ベースの製作には時間がかかります。ここで紹介している大和の海面も、実際には丸一週間程度をかけて仕上げました。