2024年6月現在、業務の方は「艦船模型スペシャルNo93」の作例製作に集中しているため、ストック記事として、プライベート製作のタミヤ1/24「ポルシェ911 GT1」製作記をご紹介します。
基本的なボディ塗装を終えたので、デカール貼り付けに進みます。今回使用した、ルネッサンスのデカールは年代モノとあって、水に浸けた時のヒビ割れが心配でしたので、マイクロスケールの「リキッドデカールフィルム」を塗布しました。このリキッドは、デカール表面に薄い膜を形成することで、割れを防止してくれる便利グッズです。
リキッドデカールフィルムを施工しているとはいえ、デカールの割れを完全に防げないケースもありますので、まずはボディ側面の小さいデカールから処理しました。サイドスカート程度のサイズだと、それほどデカール劣化の影響もなさそうでしたので、続いてフロントの白帯デカールに進もうとした、その時――、
このように「見事に粉砕」してしまいました。リキッドデカールフィルムは重ね塗りをすることで強度は上がるのですが、反り返って貼りにくくなる欠点もあるので、1重塗りとしていたところ、まさかの大惨事に直面です。
悔やんでいても仕方がないので、バラけたデカールを組み立てつつ、所定の位置に貼りました。デカール糊をたっぷり乗せた状態で一晩乾かし、翌日、マークソフターを沁み込ませた綿棒を”半田ごて”で加熱――、簡易スチームアイロンで抑える要領で馴染ませました。
それでもわずかな隙間が残りますので、最後に(スミ入れのような感覚で)白塗料を差し、リカバリー完了となりました。一見、粉砕したデカールを使用しているようには見えない仕上がりです。
その他のデカールにはリキッドデカールフィルムを2重に処理し、無事に貼り終えました。ゼッケンの貼り付け位置はワークスマシンとは異なるので、ゼッケン灯のモールドはこの段階で削り落としています。
クリアーコーティングは、ガイアノーツの「EXクリア」にておこないました。デカールを傷めないために最初は砂吹きして1日置き、翌日から一日一回の薄塗りを3日間繰り返し、1週間経過後にバフレックス(グリーン)にて中研ぎ。再度クリアーを処理して1週間後に研ぎ出しました。
モールやウイングステー、ファスナーや給油口などは、クリアーが完全に乾燥してから塗り分けます。マスキング面積が大きいので根気のいる作業ですが、この工程をおろそかにすると、吹込みが生じて更に面倒なことになるので、作業は慎重に進めました。
塗り分け完了後の様子。丹念にマスキングした成果があって、ボディ塗装は修正なしで完了しました。
スクーデリア・イタリアといえば、F-1時代からフェラーリをイメージしたカラー&マーキングがお馴染みのチームでしたが、ル・マンではカーナンバーまでオマージュされているところに芸の細かさを感じます。
ちなみにこのチーム、2004年にはプロドライブ製作の「フェラーリ550マラネロ」にてFIA-GT選手権のシリーズチャンピオンを獲得し、名実ともに「世界一のフェラーリ使い」となりました。