ただいま、業務の方は「艦船模型スペシャルNo93」の作例製作と月刊モデルアートのページレイアウト確認が重なり、少々慌ただしくしております。そこで今後当面は、ストック記事のタミヤ1/24「ポルシェ911 GT1」製作記をご紹介しております。
ボディ塗装とデカールの次は、ガラスの処理です。といっても、手を加えた箇所はハチマキステッカーの塗装処理のみで、少々入り組んだ形状であることから、工程順序をしっかり考える必要がありました。(画像は完成状態)
「ポルシェ911GT1」は、ルーフの中央部がフロントガラスに食い込むような造形になっているため、ガラスと同時にルーフの突出部も同時に処理しました。
ガラスはボディに仮止めした状態でおこなうことで、白塗装の明度も揃いました。白塗装はガイアノーツの「サーフェイサーエヴォ ホワイト」によるもので、下地に「サーフェイサーエヴォ グレー」を挟むことで発色を少し落ち着かせました。
続いてはシャシーの製作です。キットパーツは、リアのアンダートレイに押し出しピン跡がたくさん残っていたので、根気よくポリパテで処理しました。
フロント部は別パーツとなっており、ダブルウィッシュボーン式のフロントサスが再現されています。
「ポルシェ911GT1」は(キャビンを含むフロントセクションに)993型ポルシェ911カブリオレのスチールモノコックを流用している関係で、ホイールハウス周りには市販車の面影が見て取れます。
タミヤキットは、この「市販車モノコック+競技用リアセクション」という独特の構造美を上手く再現しており、シャシーを塗り分ける過程で「どこまでが市販車ベースで、どこからがレース専用設計なのか?」が、つぶさに分かる面白さがあります。
下回りはアンダーパネルで覆われ、レーシングカーらしいフラットボトムに仕上げられています。フロントセクション両サイドのトンネルや、リアディフューザーの形状も、80年代以降のプロトタイプカーの構造を踏襲していることが分かります。
「911GT1」のフロントセクションに市販車用フレームを流用した理由は「既に衝突安全基準をクリア済み」であることから開発期間を短縮できるメリットがあったからといわれています。
一方、デメリットとしては(ストラット式サスペンション用の)狭いスペースにダブルウィッシュボーンを無理に組み込んだ結果、有効なアーム長が確保できず、フロントの接地性を確保できなかった点などが挙げられます。