艦船模型製作代行のご依頼をいただき、フジミの1/700アメリカ海軍航空母艦「CV-63 キティホーク」を製作中です。

今回は艦載機製作の後編として、塗装とデカール貼りをご紹介します。まずは、キャノピーのクリア表現のためのマスキングですが、いつものようにグッドスマイルのマスクゾルを使用しました。

ゾルが乾燥したら「サーフェイサーエヴォ ブラック」を下地に吹きます。黒サフは、透過防止と機内色にもなり、傷消しなどの下地処理を一度に終えることができるので非常に便利です。

続いて、機体色のMr.カラー308「グレー FS36375」を重ねました。この塗色はキットの塗装指示に合わせたもので、黒サフの上からでも充分な隠ぺい力を発揮してくれます。

デカールは20年以上経過しているので、そのまま貼ろうとすると確実にバラバラに割れてしまいます。そこで、今回はデカール修復材として有名なマイクロスケールの「リキッドデカールフィルム」を塗布しました。このリキッドは、薄い透明の膜を形成することでデカールの崩壊を防いでくれるのですが、デカールのフチが反り返って貼りにくくなるなどの欠点もあります。

また、塗った部分で繋がってしまうために切り出しが必須になります。これは垂直尾翼のデカールをカットしているところで、余白はなるべく少なめとしました。
劣化した糊を置き換えるためにMr.マークセッターを下塗りし、馴染んできたタイミングでマークソフターを上塗り。デカールが軟化しているうちに濡れ綿棒で抑えて定着させます。

こうして仕上がったCAG機の集合写真。キャノピーのゾルを剥がす前に、機体全体にUVカット艶消しクリアーを吹きました。

「F-14 トムキャット」の完成写真。キット付属のデカールは枚数が大幅に不足していたので、機種ごとの割り振りには多少のアレンジを加えました。

「F/A-18C ホーネット」も枚数不足のため、不自然にならない程度の枚数に調整しました。3機のCAG機は、飛行甲板の上でも良いアクセントになりそうです。

「SH-60 シーホーク」については、キャノピー関連は無視されているいっぽうで、CAG機のマーキングが非常に充実しています。写真だと細かくて確認しづらいですが、側面のワシの図案はもちろん、ロービジカラーの機体番号や部隊マーク、尾翼の稲妻模様まで全て貼りました。

古い空母キットの製作ご依頼を受注する際に最も懸念すべき点が、艦載機へのデカール貼りなのですが、修正作業に翻弄されつつもなんとか無事にクリアできました。
まだまだ飛行甲板周りに大量のデカールを貼る予定なので油断はできませんが、まずは第一関門を突破した印象です。