前回に引き続いて車関連の趣味のお話ですが、今回は愛車の方ではなく、私がかねてから憧れていたラリーカー「三菱パジェロ プロトタイプ」を見学した時のレポートです。
三菱パジェロ プロトタイプは、三菱が「パリ~ダカールラリー」などのラリーレイドを戦うために開発された車両で、市販車のパジェロとは、成り立ちも構造も全く違ったラリー専用マシンです。私は中学生の頃から、ずっとこの車に憧れ続けていたもので、タミヤのキットもマーキング違いで3台を揃えるほどに入れ込みました。
憧れの競技専用車「パジェロ プロトタイプ」が名張市に
実車が展示されると知ったのは、当時の三菱のワークスドライバーで(現在もラリーに参戦を続けている)篠塚建次郎さんのFacebookを見たことがきっかけです。開催3日前の告知ということで急なお話でもあり(しかも平日だったので)大いに悩んだのですが、私の居住する奈良市から片道1時間半ほどで行ける三重県名張市での開催ということで、なんとか半日時間を取って現地を訪れました。
当日の道中。冷え込む中、朝早くからの出発となりましたが、日中は見事に晴れ渡りました。
プロトパジェロ、1992年当時と現在の違いを考察
会場は、三重県名張市夏見の「マツヤマSSKアリーナ」横の駐車場です。平日開催ということで、どれだけの人が集まっているか? と思ったものですが、それなりの人出で賑わっていました。
このイベントは、名張市八幡の自動車部品メーカー「ボルグワーナー・モールスシステムズ・ジャパン」が主催したもので、同社が製造するHY-VO(ハイボ)チェーンが、パジェロプロトのトランスファーに採用されていることから、展示が叶いました。
そして、ようやくプロトタイプパジェロとご対面です。(撮影&公開許可済み)1992年型のプロトには、Nikon、Citizen、Rothmansのスポンサーロゴが貼られていましたが、この車両のマーキングは「パリ~ル・カップ(パリ~ケープタウンラリー)」で優勝した211番の「ユベール・オリオール/フィリップ・モネ」組となっています。
プロトパジェロのリアビュー。リアカウルとリアフェンダーの間には大きな段付きがあり、1992年のパリ~ル・カップの時(タミヤキットのカウリング)と比較して、トレッドが大幅に拡幅されていました。
フロントフェンダーもオーバーフェンダー化され、ライトカバーも横幅を増したものになっています。こうした特徴は「パリ~ル・カップ1992」の仕様よりも、むしろ「パリ~ダカール1993」の特徴に近いのですが――、
タイヤ&ホイールは、1993年型の18インチよりかなり小さい印象で(恐らく)1992年型の16インチが装着されていました。ひょっとしたら、ホイールについては「余ったものを付けた」という感じで正式な仕様ではないのかもしれませんが、このマシンは92~93年の両仕様の特徴を併せ持った個体という印象です。
こうした特徴をみるに、最初は「1993年型の車両を、ショー用に1992年優勝のマーキングに仕立て直した車両なのか?」と、考えてみたのですが、ナンバープレートが「666 AHB 95」で、オリオールの車両に間違いなかったので「パリ~ル・カップ後に改修された可能性が高い」という結論に至りました。(←三菱モータースのサイトにも「92年モデルをベースに、トレッド&ホイールベース延長版を試作」とありましたので)
このカウリングは、ル・カップ後の1992年9月に開催された「パリ-モスクワ-北京マラソンラリーレイド」の出場車にも近いので、それとの関連性も気になるところです。(←オリオール本人は既にシトロエンに移籍していたので、この仕様では出場していません)
私はさほど競技車両の歴史やラリーに詳しく方ではなく、当時の内情も全く知らないのですが、マシンの形状や当時の記録から、色々とストーリーを考えるのはなかなか楽しいひとときです。
後編も引き続き、プロトパジェロのディテールをご紹介します。